■三国志雑感>三国志のラストシーン・司馬炎の百物語(1)
三国志のラストって、どんな風にしたら面白いかなあ。そんなことを日々考えながら、一人でお酒を飲んだりするんです。   初めて読破した、いちおう最初から最後まで書いてある『三国志』は、吉川英治氏のものでした。諸葛亮が死んだ後は駆け足になるという、有名すぎる特徴を知らずに読んでました。だから、諸葛亮が死んでから3ページ後に「三国は、晋一国となった。」と書いて終わってるのを見て、頭を後ろから、がああんと殴られたような気がしました。   今回は、面白いか+歴史物として妥当かどうかは抜きにして、ふと考えた三国志のエンディングについて書いてみようと思います。あんまり歴史から逸脱はしませんが、史学的な考察はお休みです笑
  ■五国の君主の宴 三国志に絡んだ国の君主たちが、暗い部屋で五角形の卓につく。五人でお酒を飲んだらどんな話をするんだろう。ここで言う五国とは、漢・魏・呉・蜀・晋です。三国志のおつかれパーティーです。 でも五角形の机ってあんまり無さそうですね。作るのも邪魔くさいし、他に使い道がない。じゃあ、六角形の卓にしよう。そして席が一つ空いている。空席に誰を座らせるか。この空席にどんな意味を持たせるか。ああ、楽しくなってきた笑(自己満) プラトンの『宴(うたげ)』みたいに議論させちゃおうかなあ。   江戸時代の洒落本とか黄表紙で、劉備・曹操・孫権が一緒のコタツに入って、お互いをからかう話がある。あんな趣向にしようかなあ。 「赤壁で酷い目にあったよ」「あれは運が良かったんですわ」「わっはっは」みたいな本でした。孔明がお手伝いさんとしてお酌したり。出典と掲載文献は後日掲載(適当でごめんなさい)   ■宴の準備をしましょう。 開催要項を決めて行きます。 まずはタイミング。あんまり戦乱から時間が経ってしまうと興ざめなので、280年の4月吉日です。孫皓が司馬炎に降り、帰命侯に任じられた直後です。この月に、州郡の軍備が撤廃されて、兵士が帰農しました。時期としては、パーティの趣旨に合致します。 元和偃武と同じような感じで、やっと寛げますよ、と。※元和偃武は徳川幕府の話です。戦国時代が終わったね宣言です。   場所は、洛陽でいいでしょう。西晋の都です。ここには後漢・曹魏も都を置いていたので、歴史を語り明かすにはいい場所だと思います。 料理は何がいいかなあ。どんなお酒がいいかな。やっぱり各地の名産品を持ち寄ってほしいよね。文化史の考察を引っ張ってきて、テーブルの上の描写を考えなくちゃ。   ■参加者を集めましょう。 幹事は司馬炎がやる。一番立場が上だから、司会進行をしてもらっても、不自然ではない。場所を貸すのも彼なんだし。 孫皓は強制参加。ついさっき降伏したんだから、幹事のお呼びがかかれば、必ず出席せねばなりません。「帰命侯」なんて名前を食らってるんだから、逆らえるはずがない。   さて、ここからメンバー集めが難しくなりますよ。テレビ番組の「あの人は今」と同じ。どこで何をしているんだ。ちゃんと達者でやってるのか笑   まずは魏の曹氏。ラストエンペラーの曹奐は、265年12月(14年半前)司馬炎に禅譲した。このとき20歳。生きているなら、35歳。充分に生きてる望みがあるぞ。 彼のその後を「陳留王紀」で追いかけます。「(禅譲が完了した後)金墉城に移り住んだが、最後は鄴に館を構えた。『魏世譜』にいう。帝を陳留王に封じた。帝は58歳で302年に崩御した」と。すばらしい。袁紹の本拠にして、後に曹操が拠点とした鄴で生きていた。曹奐は鄴から参加決定。   次は劉備の息子、劉禅。蜀の2代目の皇帝だね。「安楽県公」なんて間抜けな称号を授けられて、ストレス・フリーな生活をしているはず。生きていたら73歳。阿斗ちゃんなら、長生きをしていてくれそう。2歳で長阪で死にかけてるから、もう不運は使い果たしたんだ。 「後主伝」を見てみよう。ああ、残念なお知らせだよ。劉禅は271年に洛陽で死んでしまった。司馬炎と「蜀が懐かしいだろう」「そんなことないよ」という楽しい会話をしてた彼も、すでにこの世にいないのか。 仕方がない。『蜀記』に、劉禅の後を第六子の劉恂(リュウジュン)が継いだとある。彼に来てもらおう。 劉禅の蜀時代の皇太子・劉璿は鍾会の反乱で殺された。その弟・劉諶にでも来てもらいたかったけど、それは無理な相談だ笑 劉備の孫にあたる劉恂を呼びます。 ちなみに311年の「永嘉の乱」で劉恂は死んだらしい。異民族の洛陽占拠です。ということは、280年現在に劉恂が生きていることは確定だね。   最後はいちばん探索が難しそうな、後漢。献帝は諸葛亮と同じ234年に死んだ。献帝の庶長子・劉邈はすでに死に、その子の劉康が山陽公を継いだらしい。献帝の孫、劉康に招待状を出すよ。 ちなみに劉康も「永嘉の乱」で一族もろともぶっ殺されたらしい。恐ろしいことだなあ。
  次回、宴が始まります。盛り上がるかなあ。
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