三国志は、1800年に渡って語り尽くされてきた叙事詩。
しかし、とある映像作品のキャッチコピーみたく「死ぬまで飽きない」もの。
まだまだ枯れる気配すら見せない、三国志の魅力について語ります。
春秋戦国を勉強したい(1)
こんなサイトをやっていて、こんなことを言うのはおかしいのですが、歴史好きな人って、不気味ですね。
良い意味で、悪い意味で、とか、そんな訳の分からない修辞をつけるつもりもなく、ぼくは真正面から不気味だと言いたい。
どうして不気味かと言うと、「何かとんでもないことを見抜いているんじゃないか」という、畏れを軽く相手に抱かせるからです。

ぼくはあんまり、そういう目線で歴史を見ていませんが、人によっては、「1人の人生で経験できることは、限界がある。だから、先例を参考にして、自分のキャパ以上のパフォーマンスを発揮してやろう」と考えているようです。
書店に行けば、ビジネスマンが好きそうな「孫子の兵法で、経営を成功させる」みたいな、トンデモ本がけっこう並んでいます。こんな本を大真面目に読むくらいなら、「UFOの写真!」「幽霊を見た!」みたいな本の方が、よほど(同レベルの範疇で)楽しめると思うのだが。
ぼくにとっては、歴史は純粋なる娯楽です。というよりも、ビジネス社会でいろいろ経験することは、歴史を楽しむための準備です。
こんな態度なので、歴史をあまりに直接的に実生活の糧とするのは、抵抗があります。

ただ、やはり「(歴史を)知る人と知らざる人」というのは、「(財産や権力を)持つ人と持たざる人」みたいな感じで、どうも心理的な優劣が付いてしまう気はする。
歴史学がこれだけ袋小路に入っていて脚光を浴びない中でも、歴史というジャンルが一般受けしているのは、この辺りの歴史の知識への畏怖と羨望があるからだと思うのです。

こんなことがありました。
きっと、それなりに詳しい人が見たら、ちゃんちゃらおかしいはずのローマ史を扱ったテレビ番組を見て、全くの門外漢のぼくは、「へーっ!歴史ってすごいんだなあ。勇壮だなあ。これを知らなかったなんて、恥ずかしいなあ。知ってる奴は、どれだけ立派な判断ができるんだろうか」なんて感心していました。
テレビ用に、アホみたいに乱暴なディフォルメがされていることは予想できるのに、比較対照がないから、無条件に見惚れるしかないのです。
あんな感覚を、社会科の授業があまり好きでなかった元子供たち(=大人)は、どの地域・どの時代の歴史に対しても持つのだね。
そして、歴史に詳しい人は、不気味な存在として、一目を置かれたりするのだと思います。
春秋戦国を勉強したい(2)
前置きが長くなりましたが、三国志の時代の人々にとって、教訓だったり憧憬だったりする「歴史」というのは、主に3つの動乱の時代のようです。
こんな風に括ってしまっていいのか、それを判断する知識もないのだが、春秋戦国、楚漢戦争、王莽簒奪ですね。

曹操が荀彧を得たときに「我が張良だ」と言ったり、曹丕に簒奪を託すときに「周ノ文王になろう」と言ってみたり。諸葛亮が目指すのが、管仲と楽毅だったり。馬超は「馬援の子孫だぜ」と言ったり、呂布が飛将軍と呼ばれ、孫策が小覇王と呼ばれ、劉備は漢中王となり、袁紹は河北を根拠に洛陽を狙った。
孔子の子孫の孔融が我が物顔に振る舞い、曹操は孫子に注釈することで、戦上手ということになった。関羽は『春秋左氏伝』を読む威厳で、刺客を圧倒した笑
パッと思いついただけでも、有名な場面の底流には、彼らにとっての歴史が息づいているのです。
というか彼らにとっては、中原の営みを記したものしか、「歴史」として知りえるものがないのです。指摘するのすら馬鹿馬鹿しいが、魏晋南北朝以降の1500年強の歴史は、まだ発生していないので、知るわけもないしね。
考古学的には、長江流域に別文明があったかも知れない。でも、まだ文字を積極的に持たないフロンティアという印象ですね。少なくとも、曹操も劉備も、もちろん孫権すらも、殷や周を作った、小さな邑(ムラ)の子孫だと思う。

そういうわけで、三国志の人々にとっての「歴史」を知るためには、上記3つの時代を学ぶだけで、充分なのです。妥協したと言うよりは、本当にそれ以外には何もないのです。
お手軽!ラッキー!
と言っても、とっても広大で深遠なジャンルですが。

ややイビツな興味の持ち方ではありますが、「三国志を知るために、春秋戦国、楚漢戦争、王莽簒奪を学ぶ」というモチベートのされ方で、興味の範囲が広がりつつあります。
曹操たちが、必死に学び、「持つ人と持たざる人」の分類基準として大切にされた「彼らにとっての歴史」を、三国志ファンとしては当然学ばねばなるまい。
ぼちぼち、このサイトでも扱っていくかも知れません笑 080423
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