■三国志雑感>三国志の結末を見届けるための『晋書』目録
三国志の登場人物なのに、列伝が『晋書』に載っている。そういう人物は、けっこういると思う。ただし、『晋書』は和訳が出ていないので、網羅的に読むことができないという悲しみがある。 解體晉書http://jinshu.fc2web.com/ という素晴らしいサイトがあるものの、「三国志を楽しみ尽くす」という目的だけに照らすと、カバー率がちょっと気になるところ。   そこで今回は、『晋書』のどこに三国志のキャラが潜んでいるか、その目次だけでも作ってみたい。
  ■帝紀はどこまで読む? 第01巻 高祖宣帝紀(司馬懿) 第02巻 世宗景帝紀(司馬師)太祖文帝紀(司馬昭) 第03巻 世祖武帝紀(司馬炎) 第04巻 孝恵帝紀(司馬衷) 第05巻 孝懐帝紀(司馬熾)※この本は前半だけ。   洛陽陥落と屈辱的接待。ここまで追えばもう充分でしょう。時代的にはバリバリの晋ですが、『三国志』の覇者である司馬氏の行く末は、好奇心ゆえに知りたい。本紀くらいは追いかけたいね。 『三国志平話』が扱うのは、司馬熾が劉淵に降伏するまでだろう。   ■后妃を気にかける ※以後、巻数は列伝のものです 第01巻 懿:宣穆張皇后伝(例の張春華) 〔后妃〕 師:景懐夏侯皇后伝(夏侯尚の女)献羊皇后伝(羊祜の同母姉)      昭:文明王皇后伝(王朗の孫)      炎:武元(悼?どっち?)楊皇后伝(外戚政治)      衷:恵賈皇后伝(あの賈南風)   気が強くて、私生活も政治も、やたら掻き乱しそうな女性が多いような気がします。劉邦だって、おっかない皇后を抱えてたんだから、乱世明けの王朝ってそんなもんかなあ笑 列伝02巻は、東晋の皇后のことが書いてあるので、三国志ファンとしては省略です。
  ■列伝の、建国の功臣たち 第03巻 王祥伝(親孝行の奇跡・曹髦にすがって大泣き)      鄭沖伝(曹丕に招かれ、晋の禅譲を作文。論語集解)      何曾伝(司馬懿と謀る人。司馬炎の丞相)      石苞伝(鄧艾と仲良しで、三叛後の寿春を守る) 第04巻 羊祜伝(必須でしょう)      杜預伝(絶対に読まなければ) 第05巻 陳騫伝(陳矯の子、諸葛誕ノ乱・対呉戦に参加)      裴秀伝(曹爽や曹髦と仲良し、演義では司馬氏派) 第06巻 衛瓘伝(鄧艾護送、鍾会ノ乱平定。賈后と対立)      張華伝(阮籍に拾われ、陸抗の子や陳寿を推挙する)      劉卞伝(気骨の学徒、賈后と対立して自殺)   曹操、曹丕あたりに取り立てられて、晋が建国されたときに(年齢的に順番が回ってきて)三公レベルに登った人たちが載っていました。魏朝が短かったから、この何とも言えない切なさがあるんだね。 もし魏が10世とか続いたら、彼らは魏の三公になる人たちだったんだろうなあ。複雑な気持ちです。
  ■司馬一族 第07巻 安平獻王伝(孚。司馬懿の弟。曹丕に忠告、曹髦を哀悼)      義陽成王伝(望。孚の次男。朗の養子、姜維から魏を防御) 第08巻 琅邪王伝(伷。師・昭の異母弟。呉征伐。孫の睿が東晋)      斉王伝(攸。炎の同母弟。懿に認められ、昭に愛された)   第29巻 汝南王伝(亮。司馬伷の同母兄。賈南風に担がれる)      楚王伝(瑋。炎の子。楊駿の誅殺に功あり)      趙王伝(倫。懿の子。司馬冏と賈后を討ち、帝位3ヶ月)      斉王伝(冏。攸の子。即位した倫を討つ。八王の1人)      長沙王伝(乂。炎の次男。倫を討ち、冏を討つ)      成都王伝(潁)河間伝(顒)東海王伝(越)八王たち。   同じ司馬氏なのに『晋書』で巻が隔たってた。 西晋・東晋の建国に貢献した人と、西晋を滅亡に導いた「反逆者」を分けているんだね。おもしろ! 三国志とは時代が隔たるので省略しましたが、第06巻と第07巻には、貢献した「良質の」司馬氏の子孫たちが載っている。すなわち、単純に時代で分けたのではなさそう。
  ■司馬派に追従した魏臣たち 第09巻 王沈伝(『魏書』を書いた学者&司馬政権の政治家)      荀顗伝(荀彧の六男で、司馬氏派。気になる!)      荀勗伝(司馬攸に「佞臣」と言われて逆襲。賈皇后の仲人)      馮紞伝(へつらってるって諸処に書いてある) 第10巻 賈充伝(いわゆる諸悪の根源!)      楊駿伝(司馬炎の外戚として専政) 第12巻 王渾伝(王昶の子、呉ノ丞相・張悌を斬る。劉淵と交流)      王濬伝(王渾と討呉で争う。孫皓の降伏を受け容れる)      唐彬伝(魏末の優秀な軍人で、蜀呉殲滅戦に参加)   荀彧の子、賈逵の子、王昶の子。魏の2世たちが、司馬氏に流れていくところが読めるかな。蜀と呉が滅ぶ戦のあたりで深く関わっている人たちが多いようです。 彼ら抜きに、蜀呉の最期を描くなんて、味気ないにも程があるだろう。
  ■文官たち 第13巻 山濤伝(竹林の七賢。曹爽粛清後、再出仕)      王戎伝(王渾の子。竹林の七賢の最年少)      楽広伝(漢籍ちらっと見たら問答が楽しそう) 第14巻 盧欽伝(盧植の孫、盧毓の子。列伝はつまらなそう) 第15巻 劉毅伝(司馬炎との会話に期待。司徒・青州大中正)      任愷伝(賈充との絡みが面白そう。日本語訳発見)      郭奕伝(郭淮の甥。郭嘉の子とは単なる同名。残念) 第17巻 傅玄伝(『魏書』を書いた) 第18巻 段灼伝(鄧艾の司馬。司馬炎に鄧艾のことを上申)      閻纘伝(閻圃の孫。やたら上表してます)   多くの人の伝が立っていますが、三国志との関係がイメージしやすい人だけ、勝手に抜き出しました。盧植は後漢書(と演義)、盧毓は三国志、盧欽は晋書、という名門ながら、どうも列伝は面白くない。うーん。 竹林の七賢って、晋書に列伝が立つほどの人たちだったんですね。知らなかった。『世説新語』だけの登場人物かと笑
  ■学者さんたち 第19巻 阮籍伝(竹林の七賢。詳細後日/笑)      嵆康伝(竹林の七賢。詳細後日/笑)      向秀伝(竹林の七賢。詳細後日/笑)      劉伶伝(竹林の七賢。詳細後日/笑) 第20巻 曹志伝(曹植の子!まじか。すごいなあ)      秦秀伝(秦朗の子。秦ノ博士) 第21巻 皇甫謐(皇甫嵩の曾孫。医学の先生) 第24巻 陸機伝(陸抗の子。文学者らしい!)      陸雲伝(陸抗の子。機の弟で文学者) 第26巻 孫楚伝(孫資の孫で、文筆家)   『晋書』を翻訳するだけなら、あんまり大変じゃないんだろうけど、この辺りの人たちは著作が残っていて、文学史や思想史の対象になっている。 下手に手を出すと火傷するので、三国志のキャラたちとの血縁だけでピックアップしてみました。
  ■ひとはな咲かせた武人 第27巻 羅憲伝(蜀の終わりの、あの名将)      滕脩伝(呉の終わりの名将)      馬起伝(西涼の樹機能を攻めた晋将)      胡奮伝(胡遵の子)      陶璜伝(呉の前将軍)      吾彦伝(呉将で、晋に果敢に挑戦) 第28巻 周處伝(周魴の子で、評判最悪の人)   三国志との関連から行くと、最も注目したい一群かも知れません。末期の呉から流れてきて、晋将として活躍したという人生は、どんなだったんだろう。複雑な気持ちだけど、変な開放感があったりして笑 蜀将で一番最後に正史に載っているのが、羅憲というのは、ちょっとシブ過ぎませんか…
  このあと29巻では例の八王の乱の当事者たちが登場する。すでに前倒しして見ましたね。 30巻以降は、西晋から東晋の移行期の人物たちの列伝が並ぶ。すなわち、ここで本当に三国志が終わったということになるのです。だから、ここで打ち止めです。ちなみに『晋書』の列伝は70巻まであります。 補足ですが、載記01巻の劉元海(劉淵)伝は、気にしておきたい。魏の国内で、すでに西晋すら滅ぼす爆弾を抱えていたということは、充分に三国志のお話なのだから。   今回でやっと「目次」が手に入ったので、次は中身を読んでいこうと思います。おしまい。
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