三国志は、1800年に渡って語り尽くされてきた叙事詩。
しかし、とある映像作品のキャッチコピーみたく「死ぬまで飽きない」もの。
まだまだ枯れる気配すら見せない、三国志の魅力について語ります。
僭号仲朝紀東呉ノ章 第01
袁術(袁燿、袁胤)
皇帝を名乗った袁術の「本紀」です。
孫権が、東呉王朝の正統性をでっちあげるために、袁術の勢力を吸収した。陳寿が劉備の前に劉璋を持ってきたように、孫権の前には袁術を配しました。
袁術(公路)


 

一時代を築いた袁術さまは、雷天火。
まず天下の目線では、上の2陰を下から陽が突き動かして、波紋を広げた(無用の混乱をもたらした笑)という評価です。寿春に割拠するだけで、まだ皇帝を名乗る国力がなく、輿論が全く傾いていないのに、皇帝を名乗ってしまった。
輝かしき奇跡の永久帝国=漢への、狂気のような微力の突き上げっぷりは、「雷」だと思います。
兵站や補給拠点、はたまた根拠地の概念すらなく、行き当たりばったりで攻めても、勝てないのにねえ。
彼の自陣営での振る舞いは、まさに独尊。これは全てが陽爻である「天」しかないでしょう。全然知られてないけれど、「仲」という王朝を立てて、「即位」したんだもん。
気性の観点からは、明るく派手好きだし、名門の嫡子なので、「火」としました。きっと、分不相応にキラキラのラメとかが入った袖を翻して、大笑いしていたのでしょう。楽しそう。
きっと口癖は、「本初は妾腹の子だ」ですね。
ただ袁紹だって、実は冀州をギリギリの作戦で乗っ取っただけなんだから、彼ら兄弟が根拠地以外でともに大勢力になったのは、その時点までを見れば、才覚による快挙なんだね。
袁紹はせっかくの汝南から遠く離れてしまったので、袁家の故吏たちを積極的に吸収したのは、袁術さん。そして孫堅・孫策を飼い、孫呉軍団に活躍の場を与え、孫権即位に名分を与えた。この予期せざる副次効果を、ぼくはとても高く評価します。080709
破虜討逆伝東呉ノ章 第04
孫堅、孫策(高岱、王表、許貢)
陳寿は「孫破虜討逆伝」にしていたんだが、字数が合わず。。泣
孫策末期に絡んだ人物は、気が向いたら、ここにまとめて収録させてもらいましょう。 陳寿がセット扱いしてるからです。他に理由はない。。
孫堅(文台)


 

『真・三國無双5』で、いきなり白髪になってしまった!昔は白いパツンパツンのズボンがダサかったんだが、モーションも重苦しくなって、貫禄が出ました。以上、雑談。
天の座では、「風」を選びました。2陽がぐんぐん進もうとしているのに、下の1陰がストップをかけて、挫折してしまう。時代において、颯爽と登場したのに、チョイかよ!という退場をしてくれた孫堅には、合っていると思います。
「風」は、狭いところも吹き抜け、人事や評判の変化が激しいことを指すそうです。転じて、商売繁盛。呉郡で海賊まがいをしていた孫堅の天命は、「風」で決まり。
地の座では、「雷」です。各地を転戦し、司空の張温に「遅刻しやがった董卓は、今後の禍根だ。殺せ」と提言した。「接待の態度が悪い」と、ほぼ言いがかりのレベルで、南陽太守・荊州刺史を血祭りにあげた後に、李傕の懐柔を突っぱね、洛陽に一番乗りを果たして、「伝国の玉璽」を得た!ミスター激震です。
騒がしく正義を打ち鳴らすという孫堅は、勇猛な一将軍としての素質は充分でした。
人の座は、「火」です。長期的なビジョンを持った息の長い将軍ならば、自尊心を「天」と共有したかったところですが、短期燃え尽きタイプの情熱漢だったと思うので、どうしても真ん中の「陰」が限界の伏線となる「火」に落ち着きました。
直情径行というか、空気を読むよりも、空気を切り裂く人物。
地の座と人の座の、下の2爻が同じです。野性的に志を貫いた、孫堅らしさが出ている。しかし『易経』では、同じ爻が隣り合うと、反発するという考え方をします。素の自分で突っ走る彼は、順風のときは長所が前面に出まくるけれど、融通が利かずに当たって砕けるリスクも抱えていた。
『三国志』を読むと、孫堅の真っ直ぐな生き方に驚く。思ったことは、すべて言い、すべて着手し、成功させる。大阪市立大の山口先生をして「ここまで来ると、痛快ですね」と喜ばせていたが、韜晦を知らない無邪気な有能者には、天罰が下る。鼠将の黄祖の手にかかり、落石の下から流れ出した孫堅の臓腑のヴィヴィッドな赤色は、現代人への戒めなんだ笑 080709
孫策(伯符)


 

桃太郎みたいな髪型で、トンファーを振り回す。
臣が、良かれと思って提案すべく「策を申し上げます」と言うと、主の名を侵して無礼千万に値するので、やりにくいコトこの上ない。どうしてこんな名前を付けたんだ、パパ孫堅。
天の座は、父を継いで「風」です。
孫堅のメインフィールドは荊州でしたが、孫策は呉郡周辺で野焼きをした。さんざ荒らしまわって、行き当たりばったりに勝利しまくった。許貢の旧食客に、20代半ばで殺された。
特大の打ち上げ花火だから、父と同じ「風」だ。強風が吹けば、大気のバランスは崩れ、逆からの突風が揺り戻す。これが彼ら父子。短命ぶりとインパクトは、小島よしおの類いか笑
人の座は、「沢」です。明朗闊達で、談笑してはゲラってた。若くて、かつ前途洋洋だと思い込んでいれば、大抵の人間は割り箸が折れても爆笑するものだ。孫策もその類いだろう。常勝のくせに性格が暗くなるほうが、むしろレアケース。見てみたい。
「沢」は「悦」だ。人を喜ばすのが大好きな孫策にハマる。
人の座は、「天」でしょうか。
孫策は、バカが付くほどのプラス思考だ。「大喬も小喬も、故郷から流れてきて可哀想だ。でもオレと周瑜が婿なんだから、幸せだぜぃ」なんて、並みの神経では、なかなか言えない。
于吉騒動だって、心に僅かでも「陰」がある人物のことを、1ミリも理解できていなかったから、悲惨な結末になった。あれは『演義』の創作だから、分析する自体が滑稽だが笑
袁術の下で耐え忍び、屈辱的な従属を味わったと思われているが、ぼくは「屈辱」を感じ取るセンサーなど、孫策の心には搭載されてなかったと思う。もっと、アッケラカンだろう。北方『三国志』では、もうちょい袁術の下で耐えて精神修行をしていたら、深みも備えた安定勢力になったのではないか、と書いてあった。そうかも知れないが、八百屋でイワシは買えないんだ笑
それにしても孫策の卦は、陽爻だらけだな。眩しいぜよ。
でも、皇帝号は追諡されてない。長沙桓王。号にパンチが効いてないのは、劣等感を根に持ち続けた孫権の仕打ちか。080709
(C)2007-2008 ひろお All rights reserved. since 070331xingqi6
inserted by FC2 system