三国志は、1800年に渡って語り尽くされてきた叙事詩。
しかし、とある映像作品のキャッチコピーみたく「死ぬまで飽きない」もの。
まだまだ枯れる気配すら見せない、三国志の魅力について語ります。
神戸三宮「大三国志展」080907(1)
教えて頂いたので、行ってきました!
9月5日から、神戸の三宮で始まったということで。

「誰もいなかったら、どうしよ」と、心配のような期待のような、微妙な気持ちで出かけたのですが、なんということ!ビルの入り口から3ブロックぐらい、2~3人の列が続いているじゃないか。列の途中に、コンビニが2件もあるじゃないか。
「入場時間はどれくらい後ですか」と聞くと、「1時間弱」と言われてしまった。始まって3日目の11時半くらいに行ったんだが、帰った3時ぐらいにも同じような列が続いていたので、「たまたま、着いたタイミングが悪かっただけ」というわけじゃないらしい。
「こんなに三国志のファンが関西だけでもいるのか」という、嬉しさが込み上げてきました。
■感想
良かったです。
何と言っても、出土品が見れたのが、最高!
「三国志ファンには大事件でした」と先生がテンションを上げていた、1970年代に出土した「朱然の名刺」。ぼくもリアルタイムにあの興奮を味わいたかったが、それには、あと20年から30年ほど早く生まれなければならなかったので、ちょい無理な注文ですが。
当時は『真・三國無双』もなかったから、三国志を好きにならなかったかも知れないし。

本人が書いたのか知らんが、「丹楊の朱然です。ご機嫌はいかがですか」と、読みやすい毛筆で書いてある。
電子資料や出版物で「朱然という人がいました」と書いてあるが、どうも現実感がないのが事実。しかし、目の前に、実物がある。かなりの物理的な偶然と、運命的な巡り合わせを飛び越えて、ぼくの目の前に、実物があるのです。
このときばかりは、感動で涙を目にためて、クラクラとなりました。やば過ぎる!

その横には、西晋の荊州刺史・劉弘が授けられた、「晋鎮南将軍」の金印もありました。ちょっと文面が違うかもだけど。
このHPで、劉弘についてあれこれ書いたこともあり、彼の持ち物が出土していたことも知っていたが、まさか拝めるとはねえ。めっちゃ興奮していました。

■ちょっと『演義』過ぎるかな
そういう喜びも多かったんですが、大衆に受けるための展示というのは、どうも難あり、というところも見受けられて。
2フロアにわたる展示なんだが、はじめのフロアが、4部構成。第1部「桃園の誓い」、第2部「三顧の礼」、第3部「赤壁の戦」、第4部「秋風五丈原」と。
分かる方には、もうお分かりかと思いますが、「人々は、このようにして『劉備物語』に親しんできたわけですね」と、確認させて頂いただけで、お腹がいっぱいになる内容で。

パネルの解説とか、映像での紹介とか、マジでどうでもよく笑、明清代から現代までの「副産物」がずっと続くわけです。
辛うじて、清代に作られたという人物紹介の画伝は読み応えがあったが。今で言うと、映画のパンフみたいな感じなんだろうか。右側に人物の顔絵があって、左側1ページに人生が紹介されていた。もちろん漢文なので、皆さんスルーされていくんだが、ぼくはこの展示の前に、長くいました。
劉備がなぜ「昭烈」なのかとか、陳寿が書き残さなかったことを、後付けではあるものの、解説してありました。
あ、でも、孔明が倒れたときの星空の再現は良かった。史料の読み方を、暦について間違っていなければ、計算で星空を映し出すことは可能だからね。仲達も見上げた星空(笑)
神戸三宮「大三国志展」080907(2)
■不人気な拓本
マイナーな人の生涯を書き残した石碑の拓本(スタンプのような写し)があり。どうやら、同時代資料らしいのだが、縦に2メートルくらいあって、読むのが大変。次の行に進むときに、何行目だったのか分からなくなる。
正史の列伝は、姓名の紹介から始まり、人となりを紹介し、就いた役職と立てた功績を順番に並べていくスタイルを取っている。正史を模したかたちで、人々は一族の名を高めた、誇らしい先祖について、刻んでいったのだね。ゆっくり腰を落ち着けて読まないと、スラスラとは理解できないのだが、何となくは分かって。

面白いことに、昨日や今日作ったようなパネルの前には、なぜか分からないが人が集りまくっている。混雑してる入り口附近にあるにも関わらず、拓本の前は、滑稽なほどガラガラなのです。ちゃんと展示物の解説を見なかったが、写し取ったのも500年前とかで、かなり興味深くて貴重な史料だと思うのだが、なぜに笑
大学図書館で借りてきた論文で、がっつり考察されているのを、読んだ記憶がないではない金石文なんだが、お呼びではないらしい。

■吉川英治の原稿
NHKの人形劇の人形や、吉川英治の直筆の原稿なんかも見れて、良かった。原稿は、赤壁で孔明が祈祷する部分なんだが、孔明が起こした奇跡を「すごいんだぞ」と強調するために、霊威が後から挿入されているのが、良かった。
その部分を書き終わった後に、「どうも強調しきれてないな」と思った先生が、気候の変化の記述を書き足したのでしょう。楽しくておかしいことです笑

■本が買えない
こういうイベントで最後に期待するのは、おみやげです。
ここでしか手に入らない書籍とか、そういうものを漁るのが、楽しいのですが。びっくりするほどの品薄ぶり。売り切れたのではあるまい。置いてないんだ。
三国志ガンダムの巨大ジオラマによる合戦の再現が、でかい音量の映像とともに流れていて、もう勘弁してくれ、という感じで笑
金色のしおりが、定番でたくさん売られているんだが、あんな感じで、朱然の名刺のレプリカを作ってくれたら、少し高くても買って帰るんだけどねえ。残念です。

会場を出たところに、本屋が看板を立ててて、「大三国志展の会期中は、三国志に関する書籍の在庫を、新刊を中心に強化しています」と書いてあった。
これは行かねば!ということで、地図をざっと見て駅に戻ったんだが、分からん。
仕方ないので、降りそうな雨を怖れ、じとっとした空気を払いのけながら、展示会場に歩いて戻る。長蛇の列は相変わらずで、コンビニの前のゴミ箱がキャパ越えしていた。花火大会のときのように。
看板を見て、詳細に場所を確認して、再び本屋を探しに行きました。
地下街にそのお店はあったのだが、鼻血を出して昏倒するかと思った。確かに看板は上がっているのだが、横山光輝のマンガがずらっと並んでいるだけで、他に何も置いてない。いや、何も置いてないことはないが、ほとんど何もない。
ぼくが迷い、引き返し、楽しみにして小走りで突き止めた結果が、これかよ。ああ、びっくりした。やめてほしいね。

朱然の名刺のおかげで、1日分のモトは取れたのでした。いや、文物の貴重さからすれば、あれを片道310円の場所で見れたということは、1年分の人生のモトが取れたのかも知れない。
誕生日翌日だったのだが、最高のプレゼントをありがとうございました、と思いました。080908
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